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源氏供養

物語

源氏供養

時しも春さかり、花の都を後にして石山寺をめざす安居院の法印。景色を愛でながら進む法印を一人の女性が呼びとめます。

 

安居院の法印様。私は『源氏物語』六十帖を書き、後の世までも知られる身となりましたが、光源氏を供養しなかった罪により、成仏できずにおります。どうぞ供養をお願い致します。

 

供養は安きこと。しかしながら誰を願主として弔うのでしょう。

 

と問う法印。
その女こそ紫式部と悟るのでしたが、女はついに名乗らず、紫に色づく夕方の光の中にふと姿を消します。(中入)

 

夜も更ける頃、石山寺で紫式部の菩提を弔ううちに、灯火の影に幻のように美しい女が現れます。在りし日の姿で現れた式部は、供養を喜び、お礼にと法印の望みのままに舞います。その後成仏を望む願文を記した巻物を法印に手渡します。その願文は『源氏物語』の巻名をおり込み、世の無常を説く仏の教えが書かれていました。法印は紫式部は観世音の化身、『源氏物語』は人の世のはかなさを人々に知らせる手だてであったのかと悟るのでした。

 

舞台展開

源氏供養

安居院の法印(ワキ)は、次第の囃子(登場の囃子)で舞台に入り、石山寺までの道中の様子を謡い、ワキ座へ行きかけると、幕の中より法印を呼びとめ、里の女(前シテ)が登場し、紫式部とほのめかして中入りします。

 

紫式部の霊(後シテ)は長絹(袖の長い衣)、大口(袴)の雅びやかな出で立ちで登場し、ワキの供養に感謝し、布施の代わりにと短い舞(イロエ)を舞います。

 

『源氏物語』の巻名を折り込んだ部分は“クセ”と呼ばれる所で、一曲の見どころとなっています。

 

鑑賞

熊坂

紫式部をたたえて

 

この曲の見どころは巻名を折り込んだ“クセ”の部分。この文章は、ワキとして登場する安居院の法印(実在の人物)の『源氏物語表白』に基づいています。一見語呂合わせのような文章は、僧の立場(仏教的解釈)で、『源氏物語』を読みといたものです。当時、物語を書くことは、作り話で人心を惑わすとして、仏の教えに反することでした。

 

千年の後も輝きを失わず、人の心を打つ物語。日本が誇る作家紫式部は、今の流行作家のような華々しい人生ではなかったようです。とくにその晩年を伝える記録すらありません。

 

この曲の見どころは巻名を折り込んだ“クセ”の部分。この文章は、ワキとして登場する安居院の法印(実在の人物)の『源氏物語表白』に基づいています。一見語呂合わせのような文章は、僧の立場(仏教的解釈)で、『源氏物語』を読みといたものです。当時、物語を書くことは、作り話で人心を惑わすとして、仏の教えに反することでした。

 

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