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通小町

物語

通小町

八瀬の山里に夏の間籠って修行する僧のもとに、毎日柴や木の実を持って現れる女がありました。今日こそ名を聞こうと待っていると女は現れて、手にした木の実の数々について語ります。素性を尋ねると女は、市原野に住む者とだけ答えて消え失せます。さては小町の霊であろうと、市原野に出向いて弔っていると、嬉しげに小町の霊が現れます。すると小町に引かれるが如く深草少将の霊が現れ、成仏を妨げます。僧が懺悔のため百夜通いの様を見せるようすすめます。輿や馬にも乗らずに、雪の日も雨の日も一途に通い、九十九夜の晩に命を落としてしまい、小町への執心のため迷える身となった少将は、生前飲酒の戒めを守った一念でついには、小町ともども成仏してゆきます。

 

舞台展開

通小町

名ノリ笛の音に連れてワキ(僧)が登場します。次第の囃子でツレ(小町)が、唐織姿で籠を持って登場し、八瀬の山里の僧を訪ねる由を述べて、案内を乞います。舞台中央に座って木の実の数々を述べる件が終わると、ワキは素性をたずねます。「市原野に住む姥」と答えてかき消すように消える態で後見座に行きます。ワキかせ市原野で弔うと、後見座からツレが立って舞台に入りワキに戒を授けて成仏を願うと、幕が開いてシテ(少将の霊)がツレに引かれるが如く現れます。深々と被きを被っているのは、忍んで通う様子を表しています。黒頭で痩男の面は、執念深い亡者の相です。〈立廻り〉は笠を手に、雨夜の暗がりを通って行く様子です。九十九夜の晩に装いを改め、勇んで通って行き、むなしくなってしまいますが、飲酒の戒めを守ったため終には小町ともども仏道に導かれてゆく様子が舞われます。

 

鑑賞

通小町

深草の少将が小町を深く愛する余りの執着心は、死しても変ることなく小町の成仏をも妨げた。そんな恋の執心をテーマにした曲です。それ程までに少将が惹かれた小野小町という人は、絶世の美女であったと言われ、たぐい稀な歌の才能を持った女官でした。しかしながら、その生涯はさだかに解っておらず、それ故か多くの伝説を生みました。能では、若かりし頃の小町をシテにした「草子洗小町」の他は、「卒都婆小町」、「鸚鵡小町」、「関寺小町」といずれも老女となった小町をシテとし、大切にされている曲です。後世の人を惹き付けてやまない魅力的な人物といえます。

 

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