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菊慈童

物語

菊慈童

所は中国、魏の文帝の頃のこと。麗縣山の麓より不思議な水が湧き出し、水上を訪ねてみよとの勅命を受けて、勅使が山に分け入ります。辿り着いた所は、菊の花の咲き乱れる仙境でした。そこに住む美しい少年は、なんと周の穆王の時代より七百年もの間老いることもなく生き続けたというのです。

 

少年は穆王に賜った枕に記された法華経の二句の妙文を菊の葉に書き付け、菊に宿った露が、やがて不老不死の霊水となって流れ出たのです。経文を讃え、楽しげに舞う少年。枕を帝に捧げ、菊を掻き分けて、庵の中に姿を消します。

 

舞台展開

菊慈童

囃子方と地謡が座に着くと、後見が菊まがきを付けた一畳台を舞台正面に据えます。台の上には枕が置かれています。続いて引き廻しに覆われた藁屋が舞台正面奥に置かれます。この中にシテ(慈童)が入っています。

 

次第の囃子につれて、ワキ(勅使)が登場し、勅命によって薬の水を求めて山中に分け入る由を述べ、到着した体でワキ座に着きます。

 

藁屋の引き廻しの中で(慈童)が静かに謡い出します。続く地謡の終わりに、後見が引き廻しを下ろすと、床几にかけた美しい慈童が姿を現します。黒頭(蓬髪)に、少年の面(童子または慈童)、法被(上着)に半切(袴)。このように山中に住む少年を怪しむ勅使と、山中に分け入って来た一行を怪しむシテとワキのやりとりの間は、シテは床几にかかったままです。

 

やがて少年が七百年生きた証拠の枕に書かれた二句の経文をシテとワキが読み上げると、シテは藁屋より出て、中国風の旋律の「楽」を楽しげに舞います。舞い上げると、帝に枕を捧げた少年は、菊を掻き分けて仙家に帰って行くのでした。

 

鑑賞

菊慈童

そもそもこの少年が険しい山奥に住むようになったのは、周の穆王に仕えていた少年が、過って帝の枕を跨いでしまったためです。麗縣山に流されることになった少年を哀れんだ帝が、その枕に法華経普門品の二句の偈を書いて与えたのです。この件は現在省かれてしまっています。山奥の誰も知らない仙境に住む少年、それは昔から人々が願って止まない不老不死の象徴の姿なのです。菊花に美しく彩られた舞台をお楽しみください。

 

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