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玉鬘

物語

玉鬘

諸国一見の僧が初瀬詣でを思い立ち、初瀬川にさしかかると、谷間の急流を小舟を操って遡って来る若い女性に出会います。その女とともに初瀬に詣でた僧は、やがて二本(ふたも)の杉に案内されます。この杉こそ『源氏物語』の中で玉鬘とその母・夕顔の侍女右近が運命的な再会を果たした所。女は、玉鬘の数奇な生い立ちを詳しく語り、自ら玉鬘であると仄めかして姿を消します。

 

(中入)

 

僧の弔いに、心乱れる有様で現れた玉鬘の霊。深い迷いの心を晴らして成仏します。

 

 

舞台展開

玉鬘

名ノリ笛の音につれて登場する旅の僧(ワキ)。奈良の社寺をくまなく巡り、石上から三輪山の麓を辿って初瀬川にさしかかった由を述べます。

 

一声の囃子で里女(前シテ)が登場します。薄い水衣と呼ばれる上着は、いわば労働着。手にした竹棹は、小舟に乗っている態で、水棹(みなれざお)です。急流に小舟を操る美しい女を不思議に思った僧が呼び止めると、女は初瀬寺に案内します。折から秋の夕暮れ、色づいた山の木々、霧間に浮かぶ谷間の里。御堂に参り、二本の杉に着くまでの様子は、地謡で表わされています。二本の杉こそ、いにしえ玉鬘と右近が再会した所。

 

クリ・サシ・クセは、玉鬘の生い立ちを述べた部分で、母・夕顔が急逝し、乳母に連れられ九州で成長した玉鬘は、強引な求愛から逃れて都に上り、初瀬寺に詣でて、かつての母の侍女・右近と再会し、光源氏に引き取られるくだりです。やがて女は玉鬘と仄めかして中入します。間語り、ワキの待謡の後、一声の囃子で玉鬘の霊が現れます。唐織の右袖を脱いで着ることを、「脱ぎ下げ」と言います。左肩に垂らした一筋の鬘は、玉鬘の心の乱れを表わすかのようです。〈翔〉(大・小鼓の囃子に合わせ舞台を二巡する所作)からキリにかけて、運命に翻弄され続けた玉鬘の迷いの多い心情を表わしています。

 

鑑賞

玉鬘

『源氏物語』の中盤の「玉鬘」から「真木柱」に至る十帖のヒロインは、この能のシテ・玉鬘です。夕顔と光源氏の親友・頭中将の娘・玉鬘は、母は儚げなイメージと異なり、撫子の花のような色鮮やかな美人です。しかし常に運命に弄ばれ、苦悩する玉鬘。この能では漠然と表わされた玉鬘の狂乱の理由は、急流に浮かぶ小舟のような定めない人生から生じる迷いの心ではないでしょうか。

 

 

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