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物語

巴

木曽に住む僧が都に上る途中、近江国・粟津の原に立ち寄ります。どこからともなく若い女が現われ、社前に静かに手を合わせ、涙します。不審に思った僧が尋ねると、社はこの地で戦死した木曽義仲を祀っていると教え、夜もすがら弔って欲しいと頼み、湖水に入相の鐘が響く頃ついに名乗ることもなく姿を消します。

 

僧の弔いのうちに、在りし日の凛々しい女武者姿で現われた巴御前の霊。自ら奮戦した有様や、義仲の最期を看取り、共に自害することを許されなかった心残りを語るのでした。

 

舞台展開

巴

〈次第〉の囃子で、ワキ(旅僧)が登場し、近江国・粟津の原に着いた由を述べ脇座につきます。

 

〈会釈〉の囃子は大鼓・小鼓が静かに奏し、シテ(里女)は、何処からともなくという態で登場します。シテは、「唐織着流し姿」の若い女性。神前で涙するシテにワキは言葉をかけます。木曽からやって来たワキは、木曽義仲が祀られている社に行き合った偶然に驚きます。シテはやがて、自ら亡者であると明かして、草の蔭に姿を消します。(中入)

 

〈一声〉の囃子で現われた巴御前は烏帽子を付け、唐織を壺折に着て、大口(袴)の姿。太刀を佩き、長刀を担いでいます。これは甲冑姿の女武者の出で立ちです。

 

義仲に殉じることを許されなかった恨みを述べます。やがて正中(舞台中央)で床几にかけ、義仲の最期を詳しく語ります。

 

再び長刀を手に奮戦の有様を見せた巴でしたが、ついには義仲の形見を手に静かに太刀を置き、烏帽子を脱ぎ、泣く泣く木曽へと落ちて行ったのです。成仏を妨げとなる執心の心を弔って欲しいと願って消えて行きます。

 

鑑賞

巴

治承4年(1180年)9月、源義仲は木曽山中で平家打倒の兵を挙げます。破竹の勢いで都に攻め上り、平家を西海に追い落としますが、その栄華もわずか半年。同族によって討たれてしまいます。義仲が木曽より伴った巴は美しく、しかも男に勝る戦功を立て、戦場ではさぞ目立ったことでしょう。兄・兼平とともに最後まで義仲に付き従いますが、自害を許されませんでした。

 

そんな巴の無念さ、奮戦の有様や、義仲との最後の別れを能「巴」の後段では余すところなく描き出しています。

 

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